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下村流MBO型コーチング

「ほめる」ことが苦手なリーダーに贈る!

「ほめる」ことの効用

「ほめる」、「ほめられる」ことで得られるもの

人間関係を築くためには「ほめる」ことが効果的だと言われます。人を育成するときにも「ほめる」ことが必要だと教えられてきました。自分自身の体験をふりかえってみても、人からほめてもらえることには大きな価値があると思います。

私は高校生の頃、学業に関心が持てずにいわゆる怠惰な生活をしていました。ある日の授業で先生に教室の前に呼ばれて学習姿勢について強く叱られました。「おまえはやればできるんだ!なぜやらない!」と怒鳴られました。この叱責は、私の資質を認めてくれたうえで姿勢を叱るというメッセージに感じられました。私は単純に嬉しくなり、少し勉強をしてみようという気持ちになりました。その先生のことが好きにもなりました。あなたも過去をふりかえると、いろいろな「ほめられた」経験があるのではないでしょうか。

 

さて、それでは「ほめる」「ほめられる」ことを通して私たちは何を得ることができるのでしょうか。経験的に思うことをまとめてみますと以下のようになります。

 

ほめた人が得られるもの

●人のポジティブな側面(強み、良い点、望ましい姿勢など)を発見する力が身に付く

●相手から好まれる、信頼される

●人の元気やヤル気を引き出すことができる

●職場に活力が生まれイキイキとする

 

ほめられた人が得られるもの

●自分のポジティブな側面を知ることができる

●自分のポジティブな側面を「再現」できるようになる

●自分のネガティブな側面も受けとめて「改善」できるようになる

●元気になる、ヤル気になる

 

なぜ、「ほめる」ことができないのか?

管理者研修で“コミュニケーションに関する悩みや問題”をリストアップしてもらいますと、必ずベスト5には出てくるのが「ほめることが苦手である」ということです。多くの人が「ほめる」ことに課題を感じています。また、自分自身が「ほめられる」ことにも少し抵抗があって、恥ずかしい、照れくさい、褒め殺しになるようで抵抗感があるなどのコメントが出てきます。

 

「ほめる」ことができない理由

●「ほめる」ことが苦手な理由は、私たち日本人の文化にもあるように思います。“謙譲の美徳”など謙虚さを大切にする価値観があり(これはこれで素晴らしい美徳だと思います)、ほめられることを素直に受けとめられない人が多いと思えます。

●相手をよく見ていないために、ほめる対象や現象を見つけられない

●自分の基準で(既に十分な経験と技能を持っている自分自身を基準にして)相手の努力や成果を測ることによって、「当然である」「ほめるに値しない」と見てしまう。

●「自分はまだまだ、もっとやらねば」等の自己概念が強く、他者に対しても同じように厳しく見てしまう。つまり、自分に対するのと同じように相手に関わることで「ほめる」ことができない。

 

これで「ほめる」ことが得意になる!

「見る時間」を10分確保する

まずは、メンバーを「見る時間」の確保から始めます。他の仕事をしながら見るのではなく、メンバーを「見るだけの時間」を予定することです。見ることに集中すると、相手の「努力」や「挑戦」、「貢献」、あるいは「強み」や「良い点」が発見しやすくなります。「A君の称えるべき点は何だろう?」という視点で観察しますと、その人のポジティブな特徴を発見することができます。

プレイングマネージャーは自分の仕事に没頭する時間も必要で、日常的にメンバーの言動を見るだけの余裕はないと思います。そこで、週1回10分の「見るだけの時間」をスケジュールに組み込みます。10分も集中して眺めていれば、メンバー4-5名の観察が十分にできます。たったの10分でメンバーを元気にさせてあげる“勘所”がわかるのです。

 

(メンバーの何を見るのか?)

・成果や結果

・上達(技能 知識 経験 コミュニケーションなど)

・姿勢や考え方

 

「相手のモノサシ」で見る

「ほめる」ことが苦手だという人にその理由を聞いてみると、「ほめることが見当たらない」という答えが返ってきます。本当は「ほめる」部分を見いだせないのに、おだてるようなメッセ―ジは不要だと思います。一方で、「ほめる」部分があるにも関わらず発見できないということがあります。その理由のひとつは、既に“十分な技能と実績を保有している自分”をモノサシにして、相手を評価してしまうことにあります。「この程度のことはできて当たり前」と考えてしまうのです。相手の良い部分を発見しようとするときには、その相手の経験値/得意不得意/過去との比較などに目線を合わせて(或いは目線を落として)、その人を見ることが有効です。その人のモノサシで見て「努力している」、「伸びている」、「挑戦している」ということを見いだしてあげてください。

 

直接にほめなくてもいい??

何を試しても相手をほめることができないという人には、以下の対処法を試してほしい。

●本人ではなく他者に伝える。「Aさんは〇〇が上達したな」「Bさんは苦手な○○によくチャレンジしているね」などと伝える。やがて本人の耳の届くように。

●「ほめる」ではなく「要望する」というスタイルをとる。「成長してもらうために要望(リクエスト)したいことがある。〇〇の行動はやり続けてくれ。良い点だから」と。

●フィードバックメモを書いて渡す「良い点だから続けてほしいこと、成長のために改善して欲しいこと」をメモにして渡す。ほめることだけではなく、改善点も合わせて書くようにすれば、ほめることへの抵抗が薄れるかもしれません。

 

ほめなくてもいい、ストロークがあれば!

存在をみとめる「ストローク」

ストロークとは、米国の心理学者「E.バーン」が開発したTA(交流分析)で使用される概念です。『自分或いは他人の、存在を認める全ての働きかけ』と定義されています。バーンによると、人には他者から認められることへの“飢え”があるということです。ストロークには、受け取った者が気持ちよいと感じるポジティブなものと、受け手が痛みとして感じるネガティブなものがあります。ここでは、ポジティブなストロークについて話しを進めていきます。

●言語的ストローク  ☛おはよう! 元気そうだね! 上手くなったね!

●非言語的ストローク ☛気にかけて見る 一緒に喜ぶ 肩をたたいて励ます

●条件付きのストローク☛達成ができて良かったな!

●無条件のストローク ☛このチームで一緒にやっていこう!

※参考文献「TA TODAY 最新交流分析」 イアン・スチュアート ヴァン・ジョインズ 実務教育出版

 

心の栄養源である「ストローク」

食べ物が身体の栄養源であるように、ストロークは心の栄養源であると言われます。職場であなたが与えるストロークは、メンバーの心に栄養を与えてその活力を育むために不可欠なものです。また、メンバー同士がストロークを与えあう文化をつくることは、イキイキとした職場をつくる基盤となります。

以下のストローク例を参考にして、あなたが与えることができるストロークを考えてみてください。

●一人で寂しげに昼食をとっているメンバーがいたら、横に座って食事を共にする

●出社したメンバーの表情を見て、挨拶にひと言添える「今日も元気そうだな!」

●成長した点を発見してひと言伝える「最近、○○がうまくなったな!」

●チームのために小さな貢献をしてくれたメンバーの行動を、朝礼で発表して拍手する

●週に1回は現場を歩きまわってメンバーの様子を見る、そして「お疲れさん!」と労う

●元気のないメンバーがいたら「今日は酒でもいくか」と声をかける

●進捗報告を聞きながら仕事の姿勢を称える「丁寧な仕事をしているな!」

●メンバーの成果を一緒になっておおいに喜ぶ

●時には、ネガティブ・ストロークも与える「さらに成長して欲しい。だから改善点を伝える・・」

●悩みを抱えるメンバーの話をただ共感しながら傾聴してあげる

●見えないところでチームに貢献してくれているメンバーにメールやカードで感謝を伝える

●直接ほめることが苦手な場合は他のメンバーからメッセージが伝わるようにする

 

最後に・・・

苦手なことを克服するには「勇気」と「行動」と「時間が必要だと思いますが、小さな一歩を続けることで「慣れる」という状態を獲得できます。達人には慣れなくても十分にできるレベルには至ることができます。

あなたが、メンバーの元気とヤル気を引き出すリーダーになることを願っています。

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