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下村流MBO型コーチング

誰でもできる『自信のつくり方』

キーワードは自己効力感

トップアスリートの「自信」はどこからくるのでしょうか?

今年2017年3月は、野球の国際大会であるWBCの試合で日本中が湧いていました。私は準決勝のアメリカvs日本の試合で力投する「菅野投手」の様子を感嘆しながら見ていました。相手は世界最強と言われている打者たち、そして一発勝負である試合で、且つ何万人もの観客の視線を浴びながらも、菅野投手は最高のパフォーマンスを発揮していました、その姿を見て、とんでもない精神力を持っているのだろうな・・と驚きを感じていました。

 

極度に緊張するような場面でも、自分が持つ力を存分に発揮できるのはなぜなのかと興味が湧いてきて、いろいろと考えてみました。その主たる要因は絶え間ない練習で獲得した高い技術なのでしょうが、身に付けたその技術を完全に発揮できる「何か」がありそうです。それは、よく言われる「自信」あるいは「自分を信じる」ということなのではないかと思います。では、「自信」とはどこから生じるものなのか。。。アレコレ考えていると、ひとつのキーワードを思い出しました、それは『自己効力感』という概念でした。

 

キーワードは『自己効力感』

ある行動を起こす前にその個人が感じる「遂行可能感」。自分自身がやりたいと思っていることの実現可能性に関する知識、あるいは、自分にはこのようなことがここまでできるのだという考えがセルフエフィカシー(自己効力感)である(Bandura 1985)

※出典 セルフ・エフィカシーの心象心理学 編著:坂野雄二・前田基成 北大路書房

 

私は『自己効力感』を以下の様に解釈しています

自己効力感が高い=自分は、それをうまく達成できると思っている
自己効力感が低い=自分は、それをうまく達成できないと思っている

 

課題達成能力に対する自己評価は、仕事に対する意欲やチャレンジにも大きな影響を与えます。私たちは、うまくできないと思う仕事や活動には挑戦的になれない場合が多い。うまくできないと思うと、心も身体も委縮してしまい本来の力を出せなくなってしまいます。逆に、うまくできるはずだと思う活動には、積極的に取り組み楽しむことさえもできます。さらに、その活力ある行動によって、望む結果を獲得できる可能性までもが高まります。

「人前で話す」ことに対する私の自己効力感

別のブログでも書かせて頂いた通り、私には、多数の人を前にして話すという行為に強い恐れを感じていた時代がありました。人前に出ると「また失敗をして恥をかくのだろうな。。」と自己効力感の低い私がいました。そして実際に失敗するという経験を何度も重ねることで、ますます自己効力感が低下していきました。しかし、そこから長い年月をかけて、見本から学び、小さな成功体験を重ね、他者から称えて頂いたりすることで、私の自己効力感は少しずつ成長することができました。現在は、「話す」ことが仕事でもある講師という職業に就いて、人前に立つと「今回もうまくできるだろう」という過去とは全く異なる自己効力感を持っています。※私の変化の経緯はコチラをご覧ください

ゴルフというスポーツでは自己効力感が低い私(苦笑)

ゴルフではボールを小さなカップに近づけるために、アプローチという短い距離を打つショットがあります。私は、このアプローチをするときにはいつも「また失敗するのでは。。」という気持ちになります。そして実際に打つと私の思いの通りに毎回失敗するのです。ほとほとうんざりします。つまり自己効力感が著しく低いのです。一方で、ドライバーという一番長いクラブを使って打つショットの場合には、「またそれなりにうまく打てるだろう。。」という気持ちになり、実際に打ってみるとうまくできる場合が多いのです。つまり自己効力感が高いのです。仕事もそうですがスポーツなどは特に自己効力感の高低が結果に影響を与えているように思えます。

 

自己効力感が低い
自己効力感が高い
またうまくできないのでは・・・
自信がない
後回しにする、避ける
経験が蓄積されず上達しない
楽しくない、やりたくない
他の活動も消極的になる
うまくできると思う
自信がある
取りかかるのが早くなる
経験が蓄積されてさらに上達する
楽しい、やりたい
他の活動も積極的になる

目次

自信をつくる4つの方法

自信は『自己効力感(私にはそれがうまくできると思える)』に強く影響を受けます。そして自己効力感は、自ら高めることができます。その方法(先行要因)は以下の4つにあると言われています。あなたも、自ら自己効力感を育み、望む自分や欲する結果を手に入れてみませんか。

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①成功体験を得る/思い出す【個人的達成】

対象となる活動について「うまくできた経験」を持っていると(または思い出すと)、同じような活動に対して自己効力感(私はうまくできる!)が高まります。

例えば・・・私は研修講師という役割を何百回と経験してきました。それ故に、多少新しい内容の研修であっても、過去の成功をふりかえり、「今回もうまくできるだろう」と思って取り組むことができます
見本を見る【代理学習】

他者がやっている様子を見ることで「モデル(見本)」を手に入れることができます。人は真似ることで学ぶと言われるように、手本を獲得することで自己効力感(私にもできそうだ!)が高まります。

やったことがない初めての仕事に取り組むときには、「はたして私にできるのだろうか」という不安を感じますが、見本(真似るべき対象)を得ることで、「なるほど・・・あのようにやればいいのか」「なんとかできるかもしれない」という気持ちに変化します。
 他者からみとめられる/自己説得【言語的説得】

他者から「あなたならできる」と肯定的なフィードバックをもらえたり、「よくできましたね」といったメッセージを受けることでも、自己肯定感が高まります。

私は10数年前、当時は誰もやっていないコーチという仕事を始めるときに、「本当に仕事として成り立つのか?」という不安に駆られていました。そんなときに、仲間のコーチから「あなたは成功すると思いますよ」というメッセージを頂き、自己肯定感を回復させることができました。
 安心感や前向きな気持ちをつくる【情緒的高揚】

不安な気持ちが強くなると自分の可能性を否定的に見てしまい、「また失敗するのでは」という気持ちになります。逆に、目的に情熱を見いだしたり、その活動に幸せを感じる心の状態になると、「なんとかやってみよう!私にはできると思う」という気持ちになります。

例えば・・・私は、不安を感じる条件の仕事に取り組むときに、「私が向かう先は幸せになる」というメッセージを自分に与えることで、急に勇気が湧いてきます。

自信のつくり方①成功体験を得る/思い出す

成功体験を持つこと(個人的達成)

われわれは一般的に、ある行動がうまくいって達成感を感じた後では、同じ行動に対する遂行可能感は上昇し、「またできるだろう」という見通しが上昇する。逆に、失敗感を感じた行動に対しては、あとの遂行可能感は下降する。「遂行行動の達成」とは、いわば成功経験を体験することであり、達成感を持つことである。

※参考文献 セルフ・エフィカシーの心象心理学 編著:坂野雄二・前田基成 北大路書房

 

①-1成功体験を思い出す
例えば私は、ある未経験の研修プログラムに講師として取り組んだときに、「うまくできるだろうか?」「失敗はできない」という恐れを感じ自己効力感が低い状態になりました。自信を取り戻すために「初めての研修プログラムでもうまくできた経験はあったか?」と自分に問いかけてみます。すると、いくつかの経験が思い出されました。その経験では、初めてのプログラムであっても準備とリハーサルを行なえばうまくできたことが思い出されました。また、「ほかの研修プログラムから活用できる部分はあるか?」と自問自答をしてみると、多様な成功体験が思い出されました。このようなセルフコーチングによって「これらの経験を活かして取り組めば、おそらくうまくできるだろう」という気持ちに変化していきました。このようなプロセスを経て、自己効力感が高まり自信をもってこの仕事に取組くむことができました。
①-2想像的成功体験を得る
上記の取り組みのなかで、研修プログラムの進行手順をつくり、その手順に沿って具体的な場面を想像しながら(ここで私がこんな講義をする、すると受講者はこのような反応をするだろう等)、より詳細な計画をつくりました。このプロセスによって本番に近い想像的体験が得られ、「これならうまくできそうだ」という気持ちが膨らみ自己効力感はさらに高まりました。現実的な経験だけではなく、詳細な想像的経験を持つことでも自信は獲得できます。
①-3擬似的成功体験を得る
想像的成功体験に加えて、練習やリハーサルという場で実際に身体も動かす経験をもちますと、「私はうまくできると思う」自己効力感はさらに高まっていきます。頭と心と身体を動かして経験することは、強い記憶となり自信は強化されます。

 

例えば、「うまくできないのではないか」と不安に駆られるプレゼンテーションの前には、マンツーマンのリハーサルを行うことで少しずつ「なんとかできると思う」という気持ちに変化していきます。最初はしどろもどろな言動が、2回、3回と繰り返すうちに明らかにスムーズになっていき、やがて「うん、できそうだ」という自己効力感が芽生えてきます。初めて取り組む仕事に気後れしている場合などにも、事前に練習やリハーサルを行うことで「私はうまくできると思う」という自己効力感は高まります。これは、擬似的な成功体験を獲得したということです。擬似的な成功体験は、本番の結果に大きなプラスの影響を与えます。

①-4段階的目標を設定する
どうしても苦手な仕事や人間関係については、事前に準備や練習を行ったとしても「私はうまくできると思う」という気持ちになれないこともあります。失敗の経験を何度も繰り返した過去があると、その経験が強く記憶に残り、同じような場面になると、条件反射的に心と身体が萎縮して同じ失敗を繰り返します。このようなことは、私も含めて多くの人が経験することだと思います。

私は文章を書くことに苦手感があり、「上手く書けないのではないか、たいへんな労力がかかるのではないか」という気分になることがあります。つまり文章を書くという行動に関して、自己効力感が低い、要するに自信がないということです。自己効力感が低い行動にはなかなか手を付けようとしないものですから、締め切りに追い込まれながらなんとか仕上げるという情けない状態が繰り返されます。このような状態を抜け出すために有効な方法は、段階的目標を設定して難易度の低い行動から始めることです。例えば、文章を書くという行動について、①まずは細かなことはヨコに置いて、何のために誰のために書くのかだけを考える。②次の段階は、見本となる文章を見つけるところまでやる。③さらに、見本に沿って思うままに書いてみる。④そして、あまり考えすぎないようにして順に加筆修正する。⑤読み手の目線で加筆修正する。私の場合は、おおよそこのような段階を設定してなんとか完成させます。最初から「完成度の高い文章を書く」などといった高い目標に向かって取り組もうとすると、私には難易度が高すぎて「うまくできると思う」という気持ちになれません。自己効力感が低くて取り組む気持ちにさえなれないのです。それに対して上記①のような段階的目標であれば、「これなら私はできる」と思えますので取りかかるのがとても早くなります。

 

ここまで読んでいただいていかがでしょうか? 皆さんにも心当たりがあるような内容ではないでしょうか。『自己効力感』を高めること、つまり自信を獲得することは、物事に取り組むスピードや成果に大きな影響を与えるようです。積極性や意欲といった心の態度にも影響を与えています。あなたがより大きな「自信」を手に入れるために、自らの『自己効力感』を育まれることを願っています。

まとめ

自信をつくる方法の一つ目は「成功体験を持つこと」

・成功体験を思い出す

・想像的成功体験を持つ

・擬似的成功体験を持つ

・段階的目標を設定する

コーチングでメンバーの自信をつくる①

高い自己効力感は「私はこの活動をうまく進めることができる」という自信を生み出します。その自信によって、行動が積極的になり自分の能力を十分に発揮できるようになります。それ故に物事をうまく進めることができます。つまり、その行動に関して成果を出す確率があがるということです。メンバーの自己効力感が低いままでは、期待する結果を得られない可能性があります。リーダーは、メンバーが仕事や人間関係をうまく進められるように、メンバーの自己効力感を高めるサポートをするべきです。具体的には、以下のポイントに沿ったコーチングによってメンバーの自信をつくりだしてあげてください。

 

①-1成功体験を思い出してもらう
メンバーが自己効力感の低い(うまくできると思えない)仕事に取り組む場合、過去にその仕事(またはその仕事に似た活動)で、少しでもうまくできた経験を思い出してもらうことが自己効力感の向上につながります。具体的には、その仕事をどのように進めたのか、うまくできた要因は何だったのかなどを詳細に聞いてあげるということです。メンバーは話しながら、その心の中に少しずつ「今回もうまくできるのではないか」という気持ちが生まれていきます。全く同じ仕事でなくても、苦手な仕事を克服できた経験などを話してもらうことで、自己効力感が高まる場合もあります。ポイントは過去の成功体験を「具体的に、十分に」話してもらう(思い出してもらう)ということです。

「これまでに似たような経験をしたことはありますか?」

「この仕事に似たような活動で、少しでもうまくできた経験はありますか?」

「うまくできたその仕事は、具体的にはどのような手順で進めたのですか?」

「その仕事がうまくできた具体的な理由はなんですか?」

①-2想像的成功体験を得てもらう
自己効力感が低く「うまくできるとは思えない」仕事については、その仕事の目的や進め方を詳しく考えてもらいます。メンバーに対して「その仕事は何のために行なうのか?」、「その仕事をやり遂げることにどのような価値があるのか?」、「どのような手順で進めるとよいのか?」等を問いかけます。メンバーはその問いに答えるために深く考えて言葉にしていきます。そのプロセスを通して、メンバーは仕事の価値を改めて認識したり、どのようにすると上手く進むのか、どんなことに注意すると安全なのか等、その仕事に対する理解が深まっていきます。それは、メンバーが考え話すことを通して「想像的成功体験」を獲得していることになります。現実の成功体験を持っていなくても、何度も想像的成功体験を重ねることで自己効力感は高まっていきます。このアプローチのポイントも、「具体的に、十分に」問いかけて言葉にしてもらうことです。

「この仕事を成し遂げることにはどのような価値がありますか?」

「具体的にはどのような手順で進めますか?」

「事前に準備できることはありますか?」

留意すべきことはなにかありますか?」

 ①-3擬似的成功体験を得てもらう
「うまくできるとは思えない」仕事であっても、事前に練習をすることで「私はできると思う」という自己効力感が高まっていきます。安全な場で試してみる、ロールプレイングをする、本番と同じ動きを何度も繰り返すなどによって、擬似的成功体験を得ることになります。リーダーであるあなたはメンバーのロールプレイングの相手をしてあげることができます。または、「やってみせ、言って聞かせて、やらせてみて、ほめてやる」こともできます。これらのサポートを「教育指導」という目的だけではなく、メンバーの「自己効力感を高める」という目的をもって取り組んでみてください。

ポイントは、“どのように行うのか?”を「具体的に、十分に」問いかけて、その後に、「本番に近い環境」で練習することです。

 ①-4段階的目標を設定してもらう
難易度が高いと思っている仕事に対して、いきなり最終ゴールを目指して取り組むことは抵抗感があります。そこで、その仕事を達成するまでの段階的目標を設定して、「これならなんとかできるかもしれない」と思える行動から始めることが有効です。そして、少しずつ目標段階をあげていくことで完全に達成する状態を目指します。例えば営業という仕事であれば、第一段階として・・・先輩の営業社員に同行してもらって顧客先に行く、先輩に商談も進めてもらい商品説明のみ自分が担当する。第二段階は・・・先輩に同行してもらうが、商談は自分が進めて必要な場合のみ先輩に助けてもらう。第三段階は・・・先輩に同行してもらうが黙って見ていてもらう。第四段階は・・・一人で顧客先に行き一人で商談をしてくる。このようにして小さな成功体験を重ね、自己効力感を一歩ずつ高めていくことでやがて一人でやり遂げることできるようになります。メンバーの自己効力感が低いと思える仕事については、一足飛びに難しい行動目標を求めてもうまくできない場合が殆どです。人によれば自己効力感が過度に下がってしまい、その仕事に恐れを感じることもあるでしょう。過保護的にならないように留意する必要はありますが、メンバーの自己効力感のレベルをよく見極めて段階的目標を設定することが必要です。ポイントは、「段階的目標をメンバーと一緒に考える」「うまくできると思うかをメンバーに確認する」です。
まとめ

メンバーが自信をつくる方法の一つ目は「成功体験を持つこと」

・コーチングで「成功体験を思い出してもらう」

・コーチングで「想像的成功体験を得てもらう」

・コーチングで「擬似的成功体験を得てもらう」

・コーチングで「段階的目標を設定する」

 

 

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